薬剤師エッセイ

薬剤師が困る!医薬品の規格・用量の違い6選と改善提案

調剤業務をしていると、「なぜこの規格なんだろう?」「この表記、もっと分かりやすくできないのかな?」と思うことが多々あります。
もちろん、製薬メーカーにはそれぞれの事情や意図があるのでしょう。
しかし、現場では規格や表記の違いが調剤ミスのリスクや時間ロスにつながりかねません。

今回は、薬剤師として「もう少しこうだったら」と感じる6つの医薬品について、具体例を挙げながら考察してみます。


1. ヒルドイドフォーム vs ヘパリン類似物質外用泡状スプレー:容量と廃棄方法に感じる違和感

ヒルドイドフォーム(先発品)は92g、一方ジェネリックであるヘパリン類似物質外用泡状スプレーは100g。
この微妙な容量差が、現場では時に困りごとの原因になります。

また、廃棄方法にも違いがあります。
ヒルドイドフォームはガス抜きが必要ですが、ジェネリック品は廃棄が簡単で、現場では扱いやすい印象があります。

現場での困りごと

  • 処方箋に92gと記載されていても、患者がジェネリックを希望した場合やその逆では疑義照会が必要になります。
  • ヒルドイドフォームは規格が分かりにくく、廃棄方法にも手間がかかるため、現場で扱いづらい印象があります。

こうしたらよいのに

  • 容量を統一してくれたら、疑義照会が減り、現場の効率が上がるのではないでしょうか。
  • 廃棄方法も簡単な仕様に変更されると、より扱いやすくなると思います。最終的には、使い心地の好みで患者に選んでもらうのが現実的ですが、現場ではシンプルな規格が助かります。


2. モイゼルト軟膏の規格問題:10gと28g…在庫管理をもっとスッキリと

モイゼルト軟膏には10gと28gという2つの規格があります。
一見便利そうな選択肢ですが、現場では在庫管理の煩雑さが課題になることもあります。

現場での困りごと

  • 在庫の種類が増えることで管理が複雑になり、調剤時にどちらを使うべきか考える手間が生じます。
  • 患者様から「2gの違いで不満」といった声はほとんどなく、現場では「在庫が増えた」という印象です。

こうしたらよいのに

  • 10gと30gの2種類に規格を統一すれば、もっと分かりやすくなりそうです。
  • 小容量と大容量に分ければ、在庫管理もシンプルになり、調剤時の負担も軽減されると思います。


3. 酸化マグネシウム vs 酸化マグネシウム83%:換算不要で飲みやすい製剤がほしい

酸化マグネシウム83%は、粒子が細かくザラつきが軽減されているため、患者様にとって飲みやすい製剤です。
しかし、現場では換算が必要なため、疑義照会が必要になる場合があります。

現場での困りごと

  • 医師が換算を行わず処方してしまい、調剤時に疑義照会で確認する手間が増えることがあります。

こうしたらよいのに

  • 換算不要の仕様に統一できれば、現場での負担が軽減されるのではないでしょうか。
  • また、酸化マグネシウム自体の飲みやすさについても、改良が進むと患者様の満足度が向上すると思います。


4. シップ剤の包装単位:6枚?7枚?間違いやすさを解消してほしい

シップ剤の包装単位は製品ごとに異なり、「6枚包装」「7枚包装」「14枚包装」「100g5枚入り」とさまざまです。
これが調剤ミスのリスクを高める要因になっています。

現場での困りごと

  • 調剤時に「6枚包装」と「7枚包装」を取り違えてしまうミスが発生することがあります。
  • 包装単位がバラバラだと、調剤時に余計な確認作業が増える印象があります。

こうしたらよいのに

  • 包装単位を「7枚」「14枚」といった形で統一すれば、調剤時のミスが減り、患者にもわかりやすくなると思います。


5. 目薬の表記と容量:mLと瓶の混在にひと工夫がほしい

目薬には「mL」で記載される場合と「1瓶」で記載される場合があり、さらに1瓶あたりの容量が2.5mLと5mLの製品が混在しています。
これが現場での入力ミスや確認作業の手間を増やしています。

現場での困りごと

  • 処方箋に「1瓶」と記載されている場合、入力時に2.5mLと5mLを取り違えそうになることがあります。
  • 処方箋の表記が「mL」と「瓶」で混在していると、確認が必要で効率が悪くなります。

こうしたらよいのに

  • 表記を「瓶」に統一し、容量も併記するルールを設けてほしいです。
  • 例えば「5mL×1瓶」といった形にすることで、現場のミスを減らせると思います。


6. 外用液の「g」と「mL」表記:液剤ならmLがしっくりくる

外用液には「g」で記載される製品と「mL」で記載される製品があります。
液体製剤における「g」表記は個人的に違和感を覚えますが、現場での大きな混乱や困りごとはありません。

現場での感想

  • 特段の困りごとはありませんが、液剤の場合、「mL」の方がしっくりくると感じます。

こうしたらよいのに

  • 外用液の表記を「mL」に統一してくれたら、より分かりやすくなると思います。
  • 製品パッケージにも明確な容量表示を採用してほしいです。


結論:現場の声を業界改善に生かそう

医薬品の規格や表記が統一されることで、調剤ミスのリスクや疑義照会の手間が減り、現場の効率が向上するでしょう。
メーカー側の意図は理解しつつも、現場の薬剤師としては「もう少しこうだったら」と感じる場面が多いのが現状です。

現場の工夫と提案が医療環境を変える力に
薬剤師として、現場の声を業界に届けることで、患者様にも医療従事者にも優しい改善が進むはずです。
この記事が、共感を得て、改善への一歩となれば幸いです。