GLP-1とは
GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、体内で自然に生成されるホルモンで、主に以下のような機能を持っています。
医療としてのGLP-1作動薬
薬は、GLP-1作動薬として用いられています。
医療では、2型糖尿病の治療にのみ用いられていましたが、
2024年に「ウゴービ」という注射薬が初めて肥満症治療薬として承認されました。
BMIが27以上で健康障害を有する人やBMIが35以上の人に限られています。
薬の種類
【糖尿病治療薬】
注射:ビクトーザ®、リキスミア®、トルリシティ®、オゼンピック®
→毎日と週1回の注射のタイプがあります。
内服:リベルサス®
→苦みがあります。光と湿気に弱いデリケートな薬。毎日起床時に少量の水で服用。30分は飲食禁止。
【肥満症治療薬】
注射:ウゴービ®
→週1回投与。
副作用
副作用として以下のようなものがあります。
- 消化器症状: 吐き気、下痢、便秘
- 神経系障害:頭痛、めまい、味覚異常
- 全身障害:疲労、無力症
- 低血糖: 他の糖尿病治療薬と併用した場合、低血糖のリスクが増加します。
- アレルギー反応: まれに発疹やかゆみが発生することがあります。
- 重大な副作用として、膵臓の数値が上がり、膵臓疾患になることもあります。
医師の指示に従い、正確に使用することが重要です。
日本におけるGLP-1ダイエット
日本では、GLP-1受容体作動薬の使用が厳しく制限されています。
- 保険適用外:GLP-1ダイエット薬は自由診療として提供され、自己負担で購入する必要があります。
- 保険適応:2024年に注射薬が初めて肥満症治療薬として承認されました。
- 厳格な規制:厚生労働省が最適使用推進ガイドラインを設け、専門医による適切な診断と管理が求められます。
- 安全性データの不足:長期的な安全性データが不足しているため、使用には慎重さが求められます。
海外におけるGLP-1ダイエット
海外、特に欧米では、GLP-1ダイエットがより広く受け入れられています
- 承認範囲が広い:多くの国でBMI30以上の患者に対して承認されており、選択肢も多様です。
- 栄養ガイドラインの確立:タンパク質と野菜を重視し、単純炭水化物と糖分を最小限に抑えた食事が推奨されています。
- ライフスタイル変更との統合:薬物療法と併せて、身体活動の増加や行動変容が推奨されています。
- 患者教育の重視:肥満の慢性的性質と長期的に関わっていく必要性について、患者教育が行われています。
薬だけではなく、あらゆる手段で総合的にダイエットに取り組むしくみとなっています。
問題点
GLP-1ダイエットの人気が高まる中、薬剤の供給不足が深刻化しています。糖尿病治療薬として開発されたGLP-1受容体作動薬は、肥満治療薬としても注目され、需要が急増しています。
不適切な使用が広がり、健康被害のリスクが高まっています。
特に、適応外使用による副作用の報告が増えています。
SNSやインターネットを通じて誤情報が拡散され、多くの人が、GLP-1ダイエットを簡単に痩せられる方法として誤解し、リスクを軽視する傾向があります。
医療機関での適切な説明が不足しているケースがあり、患者様の理解不足により、薬のリスクや副作用について対応が遅れる場合があります。
自由診療でのGLP-1ダイエットにおける私見
糖尿病や健康に害を及ぼすほどの肥満の方がGLP-1薬を用いるのは分かります。
実際、糖尿病の患者様がこの薬を飲んで、副作用で吐いてしまったとか気持ち悪くて止めたということはあります。
注射より内服の方が副作用で断念している方が多い気がします。
合わない人は一定の確率でいます。
痩せる目的の方は、保険適応のお薬が登場したので、保険診療で治療して欲しいです。
それに該当しないダイエット目的の使用というのは、逆に健康を害する恐れがあり、痩せ方として美しいのかな?と思ってしまいます。
自由診療で万が一副作用が起きても、救済制度は受けられず自己責任になってしまうことは念頭に入れて受診するべきです。
お金と健康の負担が大きいので、私としてはコスパが悪いダイエットだと感じます。
痩せたい方の気持ちは十人十色なので、本当に必要な方とダイエットに依存的な方がいると思いますが、クリニック側はお薬を出すだけではなく、食事や運動、メンタルのサポートも総合的に行ってあげるべきだと考えます。
糖尿病患者様で数キロ落ちたという人はいましたが、劇的に痩せたという人は今の所、見受けられません。(それ以上に食べちゃうからかな?)
ダイエットとしては、あまり過大な期待はしない方が無難です。