薬剤師転職

薬剤師の転職市場2024年:職場選びのトレンドと業界動向をチェック

2024年の薬剤師転職市場の概観

2024年の薬剤師転職市場は、ここ数年と比べて「買い手市場」にシフトしています。
買い手市場とは、求職者(薬剤師)よりも求人を出す企業側(買い手)の方が有利な状況を指し、企業が求職者を選別しやすい状態です。
これに対して、求職者が多数の求人から選べる環境を「売り手市場」と呼びます。

買い手市場の特徴と影響

買い手市場の特徴として、求人数が限られ、応募者が集中するため、求職者にとって希望条件に合った職場を見つけることが難しくなります。
2024年の薬剤師転職市場では、次の要因により買い手市場の傾向が強まっています。

薬剤師の供給増加

近年、薬学部の増設や薬剤師資格取得者の増加に伴い、薬剤師の総数が急増しています。
その結果、特に都市部では薬剤師が供給過剰となり、求人一件あたりの求職者数が増えています。
このため、都市部では薬剤師の競争が激化し、採用されるには高度なスキルや資格が求められる状況です。

新型コロナウイルスの影響

コロナ禍による医療機関や調剤薬局の経営悪化に伴い、多くの施設が人員採用を一時的に停止したことで、求人数が減少しました。
その影響が長期化し、2020~2022年に転職を予定していた薬剤師が、2024年に入っても転職市場にとどまっているケースが見られます。

地域別の求人倍率の違い

都市部では薬剤師の供給過剰が続き、求人倍率は全国平均を下回る一方、地方都市や医療過疎地では薬剤師不足が続いており、高待遇の求人が依然として多く見られます。
この地域ごとの求人数の偏りが、薬剤師の転職戦略を大きく左右する要因となっています。

2024年の薬剤師転職市場のトレンド

都市部と地方での求人動向の違い

都市部では薬剤師が供給過剰となり、競争が激化する一方、地方では依然として薬剤師不足が深刻です。

  • 都市部(例:東京、大阪、名古屋)
    大都市では薬剤師の供給過多により、特に調剤薬局やドラッグストアの求人は減少傾向にあります。
    認定薬剤師や専門薬剤師の資格取得が、競争を勝ち抜くための強みとなります。
  • 地方都市・過疎地域(例:青森、秋田、鳥取)
    地方では薬剤師の確保が難しく、高年収や手厚い福利厚生を提示する求人が多く存在します。
    給与が都市部よりも20~30%高い場合や、移住支援、住宅手当といったサポートも充実しており、地域医療に貢献できる経験はキャリア形成においても強みとなるでしょう。

業態別の求人ニーズの変化

薬剤師の求人ニーズは、調剤薬局、病院、ドラッグストア、製薬企業など、業態ごとに大きく異なり、それぞれで求められるスキルや役割も変わります。

  • 調剤薬局
    地域密着型のサービス提供を行う「かかりつけ薬剤師」や、在宅医療に対応できる薬剤師が高く評価されます。
    大手調剤チェーンでは在宅訪問薬剤師を積極的に採用し、地域医療を支える薬剤師の育成に力を入れています。
  • 病院薬剤師
    急性期病院や高度医療を提供する医療機関での求人が増加しています。
    特に、がん治療、感染症管理、精神科医療などの分野で認定資格や実務経験を持つ薬剤師が求められます。
    チーム医療での連携能力も重要視されており、患者ケアの中心的役割を担うことが期待されます。
  • ドラッグストア
    ドラッグストア業界では、調剤併設店舗の増加に伴い、調剤業務とセルフメディケーションを推進できる薬剤師の需要が高まっています。
    健康食品やOTC薬の知識を持つ薬剤師は高く評価される傾向にあります。
  • 製薬企業・CRO
    製薬企業や臨床開発受託機関(CRO)では、臨床開発や薬事申請をサポートできる薬剤師のニーズが増えています。
    CRA(臨床開発モニター)やRA(薬事申請担当者)の求人も増加しており、研究志向の薬剤師にとって新たなキャリアパスの選択肢となっています。

在宅医療の拡大と薬剤師の新しい役割

高齢化社会の進展により、在宅医療の重要性が増しており、薬剤師の役割も拡大しています。

  • 在宅訪問薬剤師のニーズ増加
    患者やその家族との対話を通じて、患者の生活全般を支援する能力が求められます。
    複数の医療機関や介護施設と連携しながら、地域包括ケアを実践できる薬剤師は、転職市場で高い評価を受けるでしょう。
  • 居宅療養管理指導と地域包括ケア
    在宅療養管理指導の報酬が見直されたことにより、調剤薬局での在宅業務の実施が促進されています。
    薬剤師が患者の自宅を訪問し、医師、看護師、ケアマネージャーといった他職種と連携しながら、患者の治療を支援することが求められています。

くーま

私が都会で働いていた頃は、コロナの影響もあって在宅訪問の依頼が急増していたよ。
在宅訪問薬剤師はずっと外回りで出ずっぱりの毎日だったなぁ。
それに高齢化が進むうえで、在宅訪問は非常に需要のある業務内容だね。
(実は会社側はめっちゃ儲かるみたいだ)
都市部では在宅訪問のニーズは急増しているけど、田舎ではそこまで盛んでない地域もあるよ。

1 2